長崎市内にはいくつかの八幡神社がありますが、この記事では岩瀬道町にある八幡神社をご紹介します。この八幡神社は三菱重工長崎造船所を望む場所に鎮西しています。
ここですこし三菱重工ができるまでの歴史を振り返ります。
- 1857年(安政4):徳川幕府が軍艦の修理場として長崎鎔鉄所をつくる(後に長崎飽浦製鉄所と改称)
- 明治維新:旧幕営の工場を明治新政府が官収し、長崎飽浦製鉄所は工部省所管となり官営長崎造船局となる
- 1884年(明治17):長崎造船局の貸し下げ先として岩崎弥太郎(三菱重工創業者)が指定され長崎造船所と改称
三菱重工は長崎造船局の貸し下げ先として指定された1884年(明治17)を創業年としていますが、ご紹介する八幡神社はそれ以前から鎮座していて、長崎鎔鉄所から三菱重工長崎造船所への変遷を知る神社です。
- 天和元年(1681年):勧請(岩背洞台場の遺跡である身投の岬丘上に鎮座)
- 明治十一年(1878年):三菱造船所立神第一ドック建設時無災害工事により御手洗が寄進される
- 明治三十八年(1905年):三菱造船所第二ドック建設・飽の浦工場用地拡張工事の関係者より石灯籠が寄進される
- 神社名:八幡神社
- 社格:無各社
- 創建:天和元年(1681年)勧請
- 鎮座地:長崎市岩瀬道町104
- 公式サイト:無
- TEL:不明
- 参拝可能時間:24時間
- 社務所:無
- 御朱印:不明
- 駐車場:無
神社への道中に三菱重工のドックとクレーンが見える
神社へ向かう道中に三菱重工のドックとクレーンが見えます。
中央の大きなクレーンには「300t」と書かれたクレーンが2基ぶら下がっているのが見えます。
ちなみに三菱重工長崎造船所には世界遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」として全23試算のうち下記5資産があります。
- 小菅修船場跡
- 第三船渠
- ジャイアント・カンチレバークレーン
- 旧木型場
- 占勝閣
境内から見る世界遺産の構成資産「占勝閣」と長崎の町
それでは八幡神社の境内へ向かいましょう。八幡神社は階段を登った先にあります。長崎の神社ではお決まりです。
階段を登り、振り返ると世界遺産の構成資産「占勝閣」と長崎の町並みが見えます。下の画像中央より少し左にある洋風の建物が占勝閣です。
▲境内からは世界遺産の構成資産「占勝閣」と長崎の町並みが見える
拝殿で参拝
拝殿は中も外も人の手が行き届いています。お賽銭は拝殿扉右にあるポストのようなところから入れるスタイルです。
拝殿のそばにご由緒が分かる祈念碑があります。
御奉遷百年奉祝御大祭由緒
当八幡神社は三百二十年前天和元年八月勧請に係り岩背洞台場の遺跡である身投の岬丘上に鎮座して岩瀬道郷住民の家運隆盛家内安全の諸願はもとより、三菱造船所の拡張工事に伴なう関係者の安全祈願の守護神として崇敬され、明治十一年立神第一ドック建設時無災害工事により御手洗が寄進されている。鎮座後二百二十年三菱造船所の拡張に伴って社地も次第に民家と混する様になり甚だ神威を損ずるに至ったので、明治三十四年五月現在の地に奉遷され十二月社殿が建立された。町内の田中百松様、田中治三郎様より御手洗が寄進されている。明治三八年八月には三菱造船所第二ドック建設飽の浦工場用地拡張工事の関係者より石灯籠が寄進されている。
大正元年九月氏子崇敬者二十七名の寄進により大鳥居が建立され益々の神社の体裁が整備される。
明治三十四年建築された社殿は築後二十二年で腐朽破損により大正十二年再築されている。戦時中は陸軍が長崎防衛のため陣地を構築し守備隊が宿舎として使用され、原爆による倒壊は免れたが痛みは酷く、昭和四十三年台風により倒壊した。昭和四十四年町内有志の努力により再建されたが、昭和四十七年白蟻被害により解体された。
現在の社殿は昭和四十八年鉄骨により再建され、平成五年十二月には町内有志の努力により控室を拡幅増設し現在に至っている。
御奉遷百年御奉祝大祭を迎えるに際し、役員が計画して町民および氏子崇敬者に浄財を募り、石灯籠を始め本殿の修築と調度品装飾品を完備して、平成十三年十月十四日奉祝大祭を神職氏子崇敬者多数参列盛大にして、斎行して奉賛の誠を捧げ、今後益々の御神徳の発揚と神社の発展に寄与する処ろ甚大と信ず。
ここに大祭に際し氏子崇敬者各位の御熱意に感謝の意を表すると共に益々の御神徳の発揚を祈り、当社の由緒を連ね後世に伝えるものとし記念碑を建立する。平成十三年十月吉日 岩瀬道町自治会会長 平松繁雄
八幡神社「記念碑」より
これによると造船所の拡張工事に伴なう関係者の安全祈願の守護神として崇敬されたそうです。「三菱=長崎」みたいなところがありますから、長崎の安全祈願の守護神と言えるかもしれません。
ちなみに、三菱の人達がお花見をすることもあるそう。
八幡神社の参拝と取材のまとめ
八幡神社の参拝と取材のまとめです。
- 三菱重工長崎造船所を望む場所に鎮西している
- 八幡神社は長崎鎔鉄所から三菱重工長崎造船所への変遷を知っている
- 境内から世界遺産の構成資産「占勝閣」と長崎の町並みが見える
- 造船所の拡張工事に伴なう関係者の安全祈願の守護神として崇敬された
長崎鎔鉄所から三菱重工長崎造船所への変遷を知る神社で、長崎にとっては重要な神社です。
是非、参拝してみてください。
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